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龍中ブログ

日帰りできる冠動脈(心臓血管)検査

龍中ブログ 2023年08月01日

令和5年2月より、たつの市では初となるCanon製の80列CTによる冠動脈の検査を始めました。
冠動脈CTとは心臓の栄養血管である冠動脈を心電図同期しながら撮影する造影検査の事で、カテーテルを使った冠動脈造影検査とは違い大きな血管への負担の少ない検査です。そのため入院を必要とせず、外来にて日帰りで検査を行うことができることが最大のメリットの検査だと考えます。近年では技術の進歩により絶えず動く心臓の更に直径数ミリの血管を心臓カテーテルと同様の情報を得られるようになり、陰性的中率は100%に近いともいわれています。
カテーテル検査になかなか踏み出せなかった方に是非お勧めしたい検査です。

日帰りできる冠動脈(心臓血管)検査

一回当たりどの程度被ばくしているのか?
CT検査には被ばくを伴いますが線量と画質には密接な関係があります。線量が多ければ画質が良くなり診断能が向上しますがそれだけ被ばくが増えます。反対に線量が少なければ画質が低下し、検査の恩恵を受けにくくなります。そのため被ばくを伴う検査はこのメリットとデメリットを考慮し施行されます。今回取り上げた当院の冠動脈CTは約50件した中央値が640.6mGy・㎝で、多くても820mGy・㎝程度です。診断参考レベルDRL(2022)は1300mGy・㎝ですので大きく下回る線量となっております。これをもっと聞きなじみのある放射線が身体に与える影響の度合いを表す単位であるシーベルト(Sv)に換算すると、640.6mGy・㎝は約9.0mSvとなります。健康に影響があるか判断する際は100mSvが目安とされています。この100mSvを超えると受けた量に比例してガンのリスクが高くなっていますが、100mSv以下での発癌の確立が増えるかどうかは証明されていません。日本は2人に1人がガンになるといわれていますが、100mSv以下の被ばくによる発がんは自然にできる癌と区別がつかないほど少量だからです。当院では100mSvの1/10ほどですので安全に負担の少ない検査であると思います。
被ばく低減方法
当院の被ばく線量は640.6mGy・㎝なのに対し国の基準(1300mGy・㎝)の1/2の線量でしっかりとした画像が出来るのか?といった疑問も生まれてきます。そこでどのように抑えているのかも少し紹介しようと思います。Canon製のCTには被ばく低減効果のあるシステムがありこれを利用しています。心臓は、収縮と拡張を周期的に行い生命維持しています。この心臓の動きをみる心電図をつけると規則正しい波形が出来上がります。中でもR-R間隔とよばれる心室興奮から次の興奮までを利用しています。このR-R間隔の始まりから終わりを0~100%とすると画像を作る際に必要な部分は65~85%の部分であり、残りの部分はほとんど画像に関与せずエックス線を照射したとしても無駄な被ばくとなってしまいます。当院のCTではこのような必要のない部分の被ばくを減らすもしくは無くすことで必要な部分にはしっかりと線量を当て被ばくを低減することが出来ています。
ただし、このシステムを使うには患者様の心拍数、心拍変動が基準を満たしているかなどのいくつか条件があり満たしていない場合には画質の低下を防ぐためにも使用しない場合があります。
最後に
当院では心臓カテーテル治療も行っておりますので冠動脈CTで心臓の血管に狭窄があれば治療することが可能となっております。日常の歩行や階段などで胸が締め付けられる圧迫感を感じる患者様、高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙されてる患者様で心臓の病気が気になる方はぜひ当院の循環器内科にてご相談ください。
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